■デザインとアートの間に境界線はある?
デザインとアートの境界線は曖昧だと言われます。
しかし、これを考えてみることは、(デザインとアートといったカテゴリーに限らず)公募作品を作ることについても、とても重要な部分を孕んでいるような気がします。
新しい元号のスタートに合わせて(もう6日ですけども)、一度ここに思うところを記してみたいと思います。
■ツイッターで出されたお題から考えたこと
いまはもう存在していないようですが、以前ツイッター上に「北欧デザイン通信」さんというアカウントが存在していました。フィンランドの雑貨などを扱うブランドのアカウントだったかと記憶しています(正直うろ覚えです)。
ある時からぱったりツイートを止めてしまい、それきりになってしまったのですが、ツイートを辞める前に、(自分を含む)フォロワーさんに向けて、こんな「お題」を出したことがありました。
「デザインとアートの違いはなんだと思いますか?」
様々な答えが出てきたなかで、私は現在も使っている個人のアカウントで、こう答えました。
「デザインは誰か(クライアント)から投げかけられた0を1にする(形にする)もの、アートは自分の中にある0を1にして(形にして)世に問うもの」と。
結局このお題について、お題をだした「北欧デザイン通信」さんから答えらしきものが提示されることはなかったのですが、ただ、この自分なりの答えは、そんなに間違ってなかったのではないのかなーと、今でも思うのです。
■「仕事」と「表現」
大雑把に自分の答えをまとめてしまうと、デザインは「仕事」としての側面が強いもので、アートは「表現」としての側面が強くでるものだ、といったところでしょうか。
※いちおう書いておくと、「デザインは『仕事100、表現0』、アートは『仕事0、表現100』だと言っているわけではありません。それぞれに占める比重が違うと考えている、ということです。
■これを「公募」に当てはめて考えてみると?
もちろんこれは運営管理個人の考え方なので、デザインとアートの境界線をどこに置くか、もしくは置かないかは、それぞれのご判断にお任せします。
ただ、ここで「公募やコンテスト、コンペはどっちの側面が強いものか」と考えてみると、どうでしょうか。
公募はすべからく「お題」が定められているものです。主催者がどんなものを求めているか、作品規定はどうか、締切はいつか、応募形態はどうか…ここまですでにお話してきた通り、アートの公募はまた毛色がすこし違いますが、基本的には、公募・コンテストといったものには作品を作っている自分だけで完結することのできない、様々な「縛り」があるのが常です。
かつて(これまた古い話なんですが)、英バンド「U2」のボーカル・ボノは、「作品とはオリジナリティとビジネスとの間にあるものだ」と語ったといいます。ここで言っている「ビジネス」とは、そのままお金のことではなく、作品を届けるべきオーディエンスに寄り添うことを言うのだろうなと、個人的には考えます。
■自分の作りたいものだけを作っていては、公募・コンテスト・コンペにおいて主催者の眼鏡にかなうものは出来上がらないのではないのだろうか?
これ(↑)が、今回お話してみたかったことの着地点です。「公募のコツ」は4回シリーズを予定していますが、前半の3回ははっきり言って、わりとどこでも言われていることを書く予定です。
なので、先にちょっとインパクトのあることを先にもってきたくて、このコラムを先出しすることにしました。
もちろん、そんな作り手の方ばかりではないことはわかっているのですが、主催者の目に止まりたいあまり、一番心に留めるべき部分がおそろかになってしまっている方もいるような気がしました。
それは正直もったいないですから。
では、今日はこんなところで。